さくらのVPS の特徴
さくらインターネット の VPS には、他の VPS とちょっと違った面(良い面、悪い面)があります。その点について、簡単に解説してみます。
- ウェブブラウザから電源のON/OFF、再起動ができる。
これは、できないと困る?のですが、以前の専用サーバーでは、電源のON/OFFはサポートへの依頼で、サポートによって手動でサーバーの電源のON/OFFが行われていました。
これが、さくらのVPSでは、ウェブブラウザでログインし、コントロールパネルを操作することが簡単にサーバーの電源のON/OFF、再起動ができます。
さらに、リソースモニターがあり、ある程度の CPUの使用状況、ディスクの使用状況、ネットワークの使用状況 を確認することができます。
- OSの入れ替え、選択ができる。
さくらのVPSでは、CentOS, Ubuntu, FreeBSD, Debian, Fedora, Scientific Linux と多彩なOS(32bit版,64bit版)へ対応しています。
また、コントロールパネルから簡単にインストールすることができます。
さらに、ユーザの自己責任において、上記以外のOSを入れ替えることもできます。(ISOイメージファイルのアップロード機能があり、他のOSも簡単にインストールできます。)ライセンスの問題などはありますが、Windowsもインストールできるらしいです。 これも仮想化技術 KVM の恩恵と言えます。
1つの同じカーネルを共有しているOpenVZ系では、OSを選択することができない(限られている)場合が多いです。(実際には、OpenVZ系であらかじめ準備されたOSテンプレートのみ切り替えができます。)
また、コントロールパネルからシリアルコンソールを開くことができ、万が一、設定に失敗し、SSHなどでログインできないような場合でも、シリアルコンソールでログインすることができます。
- スワップが設定されている。(設定できる)
リーズナブルなプランの 1Gプランでは、デフォルトで メモリ1GBとスワップ2GBが設定されています。
今でこそ当たり前になりましたが、リリース当初は、一般的に、格安の VPS では、メモリ 1GB で、月額¥1,000(税抜)を切る価格設定は、珍しい(リーズナブル)存在でした。
無くはなかったのですが、あっても、そのほとんどは、スワップは設定されていませんし、設定できない状況でした。
これは、仮想化技術の違いによるもので、さくらインターネット は、完全仮想化により近い、KVMという仮想技術を採用しているため、
このスワップが各ユーザ(仮想空間)に設定できるようになっています。
これに対して、格安で有名な ServersMan@VPS は、仮想化技術にOpenVZ系を採用しています。
OpenVZ系の仮想化技術は、一つのカーネルを共有することで、より多くの仮想空間を作れるようになっています。
(より多くの仮想空間を作れるということは、1台のサーバーにより多くのユーザを詰め込めるということです。
レンタルサーバーで、一般的にOpenVZ系の仮想化技術を使っていることが多いのはそのためだと言われています。)
逆に、一つのカーネルを共有するために各ユーザ(仮想空間)でカーネルを変更できない、スワップを設定できないなどの問題も含んでいます。
(ただし、最近では、OpenVZでもスワップが利用できるようになっているものも増えてきました。)
技術的な面からすると、どちらが良いかと一概には言えませんが、どちらの仮想空間がより他のユーザに依存しないようになっているかという点で言えば、KVMの方が勝っているでしょう。
(KVMに似たような仮想化技術にXenがあります。そもそも 完全仮想化の分野では、Xen が有名だったんですが、さくらのVPSのおかげもあって国内でKVMは非常に有名になりました。)
- 回線速度が速い。
さくらインターネット では、各仮想空間に対してい100MbpsのLANがあるように見えます。実際(物理的には)には、1Gbpsでバックボーンネットワークへ接続されています。
また、上りでは、回線帯域(制限)を設定していないそうです。
そのため、(ベストエフォート方式なので)共有しているネットワークの空き具合にもよりますが、100Mbps以上のベンチマークを示した結果もあるほど、快適なネットワーク環境があります。
下りは、100Mbpsで回線帯域を設定しているらしいです。
- プランが豊富。
2011.3 から 上位プランが販売開始、さらに、2012.3.29 から 新プランを販売開始、さらにさらに 2014.11.27 には、再度、リニューアルを果たし、かなりプラン的に充実しました。
さくらのVPSは、リリース当初、512MBメモリの1つのプランしかありませんでしたが、上位プラン、新プランが出たことで、
メモリ不足やディスク不足、CPUのパワー不足などのリソース不足に悩まされていた方には、いろんな選択肢ができました。
詳細表示切替
さくらのVPS 全プラン比較
プラン | CPUコア数 | メモリ(GB) | HDD(GB) | SSD(GB) | 初期設定費(円) | 月額(円) | 年払い時の 月額換算(円) | 初年度総額(円) |
さくらのVPS(512MB) | 1 | 0.512 | × | 20 | ¥1,000 | ¥635 | ¥583 | ¥7,985 |
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さくらのVPS(1G) | 2 | 1 | 100 | 30 | ¥1,500 | ¥900 | ¥825 | ¥11,400 |
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さくらのVPS(2G) | 3 | 2 | 200 | 50 | ¥2,000 | ¥1,580 | ¥1,449 | ¥19,830 |
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さくらのVPS(4G) | 4 | 4 | 400 | 100 | ¥4,000 | ¥3,600 | ¥3,300 | ¥43,600 |
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さくらのVPS(8G) | 6 | 8 | 800 | 200 | ¥8,000 | ¥7,200 | ¥6,600 | ¥87,200 |
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さくらのVPS(16G) | 8 | 16 | 1600 | 400 | ¥16,000 | ¥14,400 | ¥13,200 | ¥174,400 |
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さくらのVPS(32G) | 10 | 32 | × | 800 | ¥32,000 | ¥28,000 | ¥25,667 | ¥340,000 |
前々プランでの一番人気は、さくらのVPS 4G (仮想 4 コア)でした。前プランでは、さくらのVPS 2G (仮想 3 コア) でした。
今回の新プランでは、さくらのVPS 1G (仮想 2 コア)、さくらのVPS 2G (仮想 3 コア) が良さそうです。
また、上位プランでは、さくらのVPS 4G (仮想 4 コア) が割安感がありそうです。
また、最安プランのさくらのVPS 512 プラン が復活です。CPUは仮想 1 コア , ディスク容量は SSDのみで 20GB です。
ただ、残念なのは、ちょっと割高な感じは否めません。初期設定なしの1コイン(500円)で実現してほしかった・・・です。
実際の価格は上記のとおり、初期設定費 1,000 円(税抜)、月額635円です。
さらに、最上位プランとして メモリ 32G プランが出ました。CPUは仮想 10 コア , ディスク容量は SSDのみで 800GB です。
価格は上記のとおり、初期設定費 32,000 円(税抜)、月額28,000円です。
さくらの専用サーバの安価なプランで、初期設定費292,680円、月額 9,720円 (CPU 4core,Memory 16GB,SSD 800GB) [年間割引込の1年間の費用:399,600円] からすれば、まあ、安く手に入ることは間違いないです。
また、仮想とはいえCPUのコア数、メモリは、若干上なのも見逃せないところでしょう。
実質、ウェブサーバー運用するとなると 少なくとも 1Gプラン以上が、常識的なラインではないでしょうか。
512MBのメモリでもメールサーバーやHTML直書きのウェブサーバーなどの運用なら、場合によっては、十分、いけるとは思いますが、
さすがに phpやperlなどのスクリプトが動き出すと厳しいと思います。
- LAN接続、IPv6まで対応。
IPv6に対応しており、契約すると1つのIPv6アドレス、IPv4アドレスが割り振られます。
また、全データセンターでLAN接続にも対応しています。LAN接続では、1Gbps で接続でき、外部にパケットが流れないので、よりセキュアな個別ネットワークを構築することもできます。
いずれも無料ですから、この点でも非常にメリットを感じますね。
また、前プランまでは、さくらインターネットの主要データセンター(大阪、東京、北海道)からデータセンターを選ぶことができました。
今回は、東京データセンターのみです。
前回のデータセンターの選択で、ほとんどが東京に集中した?のではないか・・・と、うがった見方もできますが、
実質、VPSの場合、東京以外に設置するというのは、バックアップ以外に用途がない?(価格に差があれば別ですが)というか選択する要因がないように思います。
そのため、データセンターが固定されたことには、何も問題がないのではないかと思います。
- サーバーの知識がないと使えない。
標準でインストールされるのは、CentOSの最新版とpostfix(CentOS 6 からメールサーバーの標準になりました), SSHぐらいです。何も設定しなければ、ウェブサーバーすら利用できない状態です。
もちろん、GUIでいろんなサービスをインストールすることもできません。この環境では、SSHでログインして、ひたすらCUIでサーバー構築をしていきます。
VNCを使ってリモートデスクトップなどを使うのも良いですが、結局のところ、サーバーの知識は欠かせません。誰も設定してくれませんからね。
これは、 さくらインターネット の VPS に限った話でもないのですが、特に さくらインターネット の VPS は、良くも悪くも初期状態が簡素です。
これは、裏をかえせば、
サーバーの知識があれば何でもできるということでもあります。
- マルチドメイン
- 独自SSL (IPアドレスは、各VPSに一つ付与されます)
は、もちろんのこと、自前のDNSだって動かそうと思えば動かせます。
簡単なものなら、独自の検索ロボットだって、やろうと思えばできます。
( このあたりが、共有レンタルサーバーではできないことです。
)
ただし、自分で全部インストールからセッティングまでしないといけないですけどね。
さくらのVPS の場合、リソースの制限はあるものの、サーバーを丸ごと借りる 専用サーバ と同じように扱えます。
あくまで仮想なので、リモート(ウェブ上のコントロールパネル)で電源断、(再)起動、シャットダウン することができる点も見逃せません。本当の専用サーバであれば、セッティングの失敗や問題で データハウスへ起動や電源断などをお願いしないといけない場合だってありますからね。
いかがだったでしょうか。
リーズナブルな 1G プラン では、ディスク容量もHDDなら100GBありますから、十分な容量だと思います。
SSDであって 30GBありますから、動画など容量が必要なデータが無い限り、普通のサーバー構築には、十分だと思います。
CPUもQuad Core Xeon 2.40GHzが採用されていて、かなりの高速です。(最安プランの さくらのVPS 1G プラン では、仮想 2 coreが割り当てられます。 )
やっぱり、1Gプラン、2Gプランあたりが、割安感はありますね。
海外VPSとの比較
格安で(日本で)有名な海外VPSと、簡単な比較をしてみました。
詳細表示切替
VPS (仮想技術) | プラン | CPU | メモリ | ディスク | 転送量 | 月額 |
Linode ( Xen ) | Linode 1GB | 1コア | 1GB | 48GB | 2TB |
$20( ¥2,000 ) |
NOC ( Xen ) | X-1G | 3コア | 1GB | 40GB | 無制限 |
$28.95( ¥2,895 ) |
Arpnetworks ( KVM ) | All-Purpose | 1コア ($2/core UP可能) | 1GB | 20GB | 500GB |
$20( ¥2,000 ) |
さくらVPS ( KVM ) | 1G プラン | 2コア | 1GB | 100GB | 無制限 |
$9( ¥934 )(税抜) |
¥換算は、$1=¥100で計算されています。
海外の相場感としては、KVMを利用したVPSの場合、
メモリ : 256MB で $10
メモリ : 512MB で $15
メモリ : 1GB で $20 ~ $30
ぐらいが最安値のようです。
そこからすると、超円高だったころの $1=¥75 としても、まだまだ さくらのVPSが安い のがわかると思います。上記の例では、$1=¥50 ぐらいの円高までライバルにはなりそうもありません。
OpenVZ系のVPSであれば、メモリ : 512MB で $10 ぐらいがあるようです。( OpenVZ系はスワップが使えないので注意が必要です。 )
上記のVPSは、Google.com で検索して、安い海外のVPSをピックアップしたものです。(ここで挙げたものは、日本でも、人気の高い海外VPSでもあります。)
上記以外にもVPSはありますが、往々にして1.5倍から2倍あたりの価格になります。
さくらのVPSがリリースされた当初から、これらの格安の海外VPSとの価格差は、あまり変わり映えしません。(さくらのVPSが安いです)
この月額から見ても、さくらインターネットのVPS ( さくらのVPS )が、しっかり海外を意識しているのがわかると思います。
さくらのVPSが圧倒的な人気になった理由
なぜ さくらのVPSが圧倒的な人気になったかの理由 を簡単に考えてみました。(あくまで私見です)
個人的には、以下の2点に尽きると思います。
- 月額 ¥934(税抜) という安さ
- 仮想化技術 :KVM を採用したことによる自由度
最初のリリースで格安1プランのみを提供することで、安さを強烈にアピールできた。
さらに、初期設定費無料も加えて 利用者の敷居を低くできた。
利用者が増えていくと、利用者が用途を自由に広げられる 仮想化技術のKVM が効果を指数関数的に広げていった。(ネットの特性でもあるように評判が評判を生み、急拡大していった。)
・・・というのが、個人的な見解です。もちろんネット広告(アフィリエイトを含む)効果も見逃せませんが、結局、物が良くないとここまで広がりませんからね。
残念ながら悪評もあります。「良くリブートがある」の類は、目にします。実際に、個人的に借りているVPSも年1回程度の強制的なシステムリブートがあります。
それは、極端には、大事がないように事前にメンテナンスを施すという意味あいが強いもので、そこまで問題視するものでもないかなぁという感じがします。
このように分析しながらも、さくらインターネットの思惑に、まんまと乗ってしまっている自分が、ちょっと恥ずかしい・・・です。
さくらのVPS の機能アップ履歴
2010.9.1 に
さくらインターネット で、VPSプラン(さくらのVPS)が正式にリリースされて以来、以下のようにプランの充実が図られてきました。
2010.9.1 さくらのVPS リリース
- メモリ 512MB , CPU 2コアの1プランのみ提供
↓
2011.3.11 さくらのVPS 上位プラン リリース
- 512プラン : メモリ 512MB , CPU 2コア
- 1Gプラン : メモリ 1GB , CPU 2コア
- 1.5Gプラン : メモリ 1.5GB , CPU 2コア
- 4Gプラン : メモリ 4GB , CPU 4コア
- 8Gプラン : メモリ 8GB , CPU 4コア
↓
2012.3.29 さくらのVPS リニューアル(全プランのスペック改定)
- 1Gプラン : メモリ 1GB , CPU 2コア
- 2Gプラン : メモリ 2GB , CPU 3コア
- 4Gプラン : メモリ 4GB , CPU 4コア
- 8Gプラン : メモリ 8GB , CPU 6コア
↓
2012.12.13 さくらのVPS SSDプランリリース
- 1G (SSD) プラン : メモリ 1GB , CPU 2コア 50GB(SSD)
- 2G (SSD) プラン : メモリ 2GB , CPU 3コア 100GB(SSD)
↓
2013.6.25 さくらのVPS SSDプラン価格据え置きでメモリアップ
- 1G → 2G (SSD) プラン : メモリ 1G → 2GB , CPU 2コア 50GB(SSD)
- 2G → 4G (SSD) プラン : メモリ 2G → 4GB , CPU 3コア 100GB(SSD)
↓
2013.10.31 さくらのVPS プラン拡充・機能追加などサービスリニューアル
- 8G (SSD) プラン : メモリ 8GB , CPU 4コア 200GB(SSD)
- 16G (SSD) プラン : メモリ 16GB , CPU 8コア 400GB(SSD)
- リージョン選択 : データセンターを「大阪、東京、北海道」から選択可能
- ローカルネットワーク : データセンター「東京、北海道」にてLAN接続可能(無料)
- IPv6 : IPv6対応(無料)
目まぐるしく、ここ数年で機能アップを果たしてきたのが良くわかると思います。
2011年ぐらいまでは、ほぼ独走状態で、格安のVPSと言えば、さくらのVPSと言えるぐらいの独走状態でした。
その年末(2011.11)にリリースされたのが、KDDIから出た CloudCore VPS です。
さらに、翌春(2012.3)にリリースされたのが、GMOから出た お名前.com VPS(KVM) です。
そう考えると、あっという間にライバルが増えましたね。それに伴っての 機能アップと言えなくもないでしょうね。
いかがでしょうか、 さくらインターネット の VPS ( さくらのVPS )。個人的には、世界市場的に 後発ゆえに、(市場戦略的に)よく考えられたプランだと感心しておりました。
ここまで見た感じでも、下手に
自宅サーバーを構築するより安上がりなのが分かると思います。
リーズナブルな1Gプランでは、月々
¥900(税抜) と、
電気代ぐらいのお値段で、この環境が手に入ると思えば、かなり割安感があります。
(古い CelronやPentium のPCを自宅サーバーにするより、ずっと安上がりで、高速です。
)
現在、このサイトは、 さくらのVPS で運営されています。
世間の 評判 どおり、なかなか、良い感じです。
自宅サーバーや専用サーバーをお考えの方には、是非、おすすめしたいサーバーです。
まずは、
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サーバーの管理・運営は、さくらインターネットが行ってくれます。利用する側は、コンテンツに集中することができます。まず、間違いないと思います。
2012年8月23日, 10:25 AM
[...] ついに、さくらインターネットからVPSプラン ( さくらのVPS ) がでた で紹介されているようにさくらインターネットで、VPSプラン ( さくらのVPS ) が登場しました。 記事の内容からもなかなかのスペックなので、変な自宅サーバーよりましかも・・・と思い、ちょっと使ってみました。 さくらインターネットのVPS ( さくらのVPS )を試してみたい方は、さくらのVPS ページからどうぞ。無料お試し期間は14日です。 ※お試し期間中は、OP25B設定、データ転送帯域に制約がありますから注意してください。 [...]