企業サイトのサーバー選びで大事なこと

会社のウェブサイト（企業サイト）を立ち上げる時に、まず第一に考えることは、

そのサイトをどのように活用するのか？

です。

超基本的なことですが、ここを漠然とさせたまま、サイトを構築しても、後々、やり直すことになりますので、まずはこの点を、会社内で十分な検討が必要でしょう。

例えば、ざっくりと大きく２つの以下のような活用を考えてみます。

• 会社のインターネット上の看板程度で、ＩＲ情報、商品情報などを掲載するだけで良い
• 会社の販促ツールとして利用し、ＩＲ情報、商品情報はもとより、ウェブによる販促を行う主サイトとして利用したい

インターネットの初期には、多くの企業が、前者の看板としてのホームページ＝ウェブサイトとして構築しました。
しかし、現在は、後者の意味あいが大きく、インターネットの仮想空間と現実空間を取り持つウェブサイトの構築が、かなり進んできました。 小売り企業においては、それが、さらに進化していて、ショッピングサイトと実販売店との垣根を無くしつつあります。 他方では、実販売店の縮小化も検討されていて、インターネットの仮想空間でのみの販売へと移行する企業も出てきています。 それは、Ａｍａｚｏｎの成功の影響は大きく、近年における小売り販売の売り上げ低下によるところも大きいと思います。

そうは言っても、大きな買い物、例えば、家や車などは、やっぱり、実販売がメインですが、これもやっぱり、インターネットによる情報比較により、 実売への影響も出てきています。

また、インターネットのおかげで B to B が主な販売経路だったのが、 B to C への販路が大きくなった企業も増えています。 いわゆる中抜きに近いのかもしれませんね。

このように、いろんなことが全ての業種で巻き起こっています。
まずは、企業のインターネットにおける戦略をどこに主眼を置くのか、これをじっくりと考える必要があると思います。

先の例の具体性では、まだまだだめで、もっと深く具体的に検討する必要があります。
ここで、検討を中途半端にした場合は、出戻りも大きく、結局は、やりたいことができなかったり、サーバーへの負荷が高かったり問題が噴出することは間違いでしょう。

上記のサイトの活用が十分に検討されたのなら、
サーバー選びのポイントの一番は、
それを実現するために必要な機能がサーバーにあるかどうかでしょう。

加えて検討すべきは、利用頻度によって、サーバーの負荷を考えるできでしょう。

例えば、社員 10,000 人のメールを処理するサーバーを考えても わかるように、一般的に 10,000 人が 1回/日 メールの送受信をしただけで、 サーバーへのアクセスは、20,000 回/日 となります。
これは、格安の共有レンタルサーバーでは難しいレベルで、共有レンタルサーバーでもハイスペックなプランを選択すべきでしょう。 さらには、VPSや専用サーバーの検討も必要かもしれません。

このように、負荷に応じてプラン、サーバーの選択を検討する必要が出てきます。

以下にサイト活用の具体的な例を挙げて、簡単に解説してみます。

• 必要最小限のメール環境と会社のホームページを公開したい
  

  [サーバーに求める機能]

  • メールの送受信機能
  • ウェブ機能
    

    できればWordpressなどのCMSが動けば良い

  一般に社員数にもよりますが、中小企業（100名程度）であれば、共有レンタルサーバーでも十分かと思います。 もし、サーバーの管理者をおられるなら、VPSや専用サーバーでも良いでしょう。
  概ね目安としては、100名以上のメールのやりとりには、VPSや専用サーバーの検討も必要かと思います。
  また、ウェブ機能の面では、何を使ってホームページを作成するかを検討すべきだと思います。 最近では、HTMLをそのまま手書きするケースはほとんどありません。CMSなど動的に作成する場合がほとんどですから、外注するにせよ、その点の基本的な動作環境は抑えておくべきでしょう。
  例えば、Wordpressなら、PHPとMySQLが動作すれば利用できます。
  

• 社内情報の社員による共有を図りたい
  

  [サーバーに求める機能]

  • メールの送受信機能
  • ウェブ機能
    

    データベース、スクリプトなどグループウェアが動作する環境が必須

  一般にグループウェアをウェブサイト経由で構築するのが、もっとも近道でしょう。あるいは、グループウェアのクラウド版もあるので、そちらを検討するのも良いかもしれません。
  共有サーバーでは、オプションとしてグループウェアを提供しているものもあります。または、VPSないし専用サーバーで自前でグループウェアの構築を検討されると良いでしょう。
  もし、自前で構築したいということであれば、PHPなどのスクリプト言語＋MySQLなどのデータベース によって構築することを考える必要があるでしょう。その際は、ある程度、専門的な知識も必要です。
  また、サーバーの環境としては、利用するグループウェアが動作しなければ意味がありませんから、グループウェアの動作環境を確認すべきです。
  

• 商品のサポート情報をユーザと社員間で共有を図りたい
  

  [サーバーに求める機能]

  • メールの送受信機能
  • ウェブ機能
    

    データベース、スクリプトなど動的なページ作成ができる環境が必須

  これは、サポートへの問い合わせ事項を含めて、社内で構築するのが最も良いでしょう。 サーバーを使って、PHPなどのスクリプト言語＋MySQLなどのデータベース によって構築することを考える必要があるでしょう。その際は、ある程度、専門的な知識も必要です。
  
  例えば、以下のようなウェブサイトのサポートページの流れを考えてみましょう。
  

  1. サポートページを作成し、困った時にユーザは、そのページを介して問い合わせを行う。
  2. サポートページからの問い合わせがあったら、自動的にサポートデータに登録し、担当者へメール配信する。
  3. 担当者が、その問い合わせに返信したら、自動的にサポートデータに返信を登録し、ユーザへメール配信する。

  一般的なサポートページの流れは、上記のような感じでしょう。
  これについては、オープンソースのシステムを駆使して構築もできますし、上記だけならプログラミングもそれほど難しくないでしょう。
  
  ただ、これを実現するためには、一般的には、スクリプト言語(例えばPHPなど)、データベース(例えばMySQLなど)に対応しているサーバーが不可欠でしょう。 さらに、サポートへの問い合わせが、どれくらいの量であるのか、ページ更新がどれだけの頻度で実行すべきなのか等々利用頻度から、対応できるサーバーを選択する必要があるでしょう。
  例えば、100回/日 程度のサポートへの問い合わせの対応で良ければ、格安の共有レンタルサーバーでも十分でしょう。
  

このように企業サイトといっても様々な用途が考えられます。ここで挙げた例は、本の一部で、具体性も乏しいです。実際は、もっと具体的で複雑な要求も多いはずです。 その様々な用途によって、いろんなケースが考えられますので、それにあったサーバーの選択が求められるでしょう。
もちろん、ここでの企業サイトは先にも書いたように大企業ではありません。対象としているのは、中小企業です。大企業には、専用の技術者がいますし、サーバーも自前のデータセンターを持っていたり、 レンタルサーバーであっても企業間契約で大々的に契約が結ばれていますので、サーバーの選択というよりサーバー間のネットワーク構成を構築するような技術力が求められるでしょう。